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Q 中学受験はやめて都立高校の復活に乗っかったほうがいいのでしょうか。

A 重要なのはその高校から何人一流大学に行ったかではなく,子供さんがどの大学に行けるかです。その意味で,政治的な動きなど考慮する必要はありません。

 高校はどこに行っても教育能力は変わりません。というより,教育機能はありませんから,できるだけ大学受験の障害にならない高校に行くべきです。

 一定以上の大学受験を目指す場合には,高1のときから参考書などを使って独自に勉強する必要があります。また,塾や予備校を利用する必要がある場合もあります。

 そうすると,一般に進学校は宿題が多く,自分の勉強ができなくなりますので,普通の高校がよいということになります。都立高校はそれほど荒れていませんので,必ずしも復活が語られているようなメジャーな重点校でなくてもよく,むしろ交通の便で選ぶとよいのではないでしょうか。

 また,無理に中学受験をすると,正常な読書や自然な思考が妨げられ,言語感覚がおかしくなることがあります。実際,中学受験をした人の非常に多くが,小学校時点での相対的学力レベルからは想像もつかない低い水準の大学に行っていることからも,危険と考えるべきでしょう。中学受験をするにしても,無理のない範囲で考えるとよいのではないでしょうか。

Q 私立中学の良さとは何でしょうか。

A これは非常に面白いご質問です。結論から申しますと,その良さがわかる人だけが私立中学に行けばいいのです。というのも,それは「好み」と「自己満足」の域を出ないからです。

 まず,進学校については,超一流といわれる有名中学でも校内暴力や犯罪事件はよくありますし,教育内容が特に大学入試に対応しているわけでもありません。進学校はあくまで対外的に進学重視,と言っているだけで,内実があるわけでも何でもありません。むしろ行事の縛りがきつかったり,雰囲気が悪いことが多いです。

 もちろん「名門の雰囲気」なるものに浸ることができる人はいますから,そういう人は行けばいいのではないでしょうか。しかし,その雰囲気ないし思いこみは,過去の優秀なOBを意識してのことだと思いますので,どちらかというと他人にあやかろうとする他力本願な発想です。そういうのがカッコ悪い,要は本人がどれだけ活躍できるかだ,と思う親御さんは,逆に普通の中学に行かせてもいいのではないでしょうか。

 それ以外の,独自の特色を持つ学校となりますと,これは好みの問題としかいいようがありません。公立がどうしようもなく荒れているという場合を除けば,中学選びは,あくまで好き嫌いの次元で行うものです。(2009.11.6)

Q 附属の私立小学校に行っています。ほとんどの人が系列の大学に行くのですが,他の大学に行くのは難しいのでしょうか。

A はい。非常に難しいです。エスカレーターで行けるという甘い状況が,受験競争への参加を阻害します。私立大学も,生徒数確保のために附属を作っているわけですから,他への流出を嫌います。実質的に系列大学以外の大学に進学することはないと考えたほうがいいでしょう。

 進学校だからといって,大学受験に有利になるわけではありませんが,エスカレーターの場合には,間違いなく不利になります。

 小学校を受験するときには,成績がよければ他へ出てもいいかな,と呑気なことを考えている親御さんが多いですが,将来が保証されている環境であえて頑張れる子なんてほとんどいません。一般受験できるほどの学力がつくことはまずないでしょう。

 そもそも大学附属の私立小は,楽をするために行くところであって,能力を身につけるために行くところではありません。

 ですから,外に出ようとするなら,親御さんも強い意志を持って,きちんと塾に行かせるなりして,対策を立てるしかないでしょう。

Q 私立でも,あまりにほったらかしの中学に行くのなら,公立でも変わらないと思うのですが。

A 仰る通りです。ほったらかしというのは,実は非常に危険なことです。私立中高では,評判を気にするあまり,校内のいじめや暴力事件を放置し,完全に存在しないかのような態度をとることが少なくありません。

 また,2009年の例ですと,新型インフルエンザが全国的に流行して学級閉鎖が続出しているにもかかわらず,私立K学園が文化祭の公開を強行し,大量感染とそれに伴う学級閉鎖,学年閉鎖を招来したことは有名です。

 なお,当学院ではこのケースも含め,危険と見なされる公開行事に参加された方は行事の直後からしばらくの間,塾のほうを強制的にお休みいただいておりますのでご安心ください。

 身の安全に関わることで,生徒を完全に放置するというのは,未成年者を扱う機関としてやはり問題があります。

 私立A学園も公開の運動会で多数の感染者を出しました。私立J学院は文化祭直前まで非公開にするかどうか発表せず,一部生徒と周辺の方に恐怖を与えました。

 表向き,生徒が文化祭の準備してきたから非公開にしたくない,といった理由が言われますが,公開行事は私立学校にとって貴重な営業の機会でもあり,当該校に興味を持つ小学生を疎遠にしたくはないので,なかなか公開停止に踏み切れないのです。しかし,見学にきた小学生が感染するなどしたら,やはり逆効果です。

 そのような中で,桜蔭学園がいち早く文化祭の非公開を決めていて,対応が光っています。

 中学を選ぶときに,ついつい進学を念頭に置いてしまいますが,健康や安全のほうが基本的かつ重要なのではないでしょうか。そういう常識感覚が麻痺しない程度に,中学受験に参加しましょう。

Q 夫がリストラされ,中学受験を断念せざるを得なくなりました。父親への不信などは教育上問題はないでしょうか。

A 不信という時点で間違っています。今やリストラは一流大学卒の管理職にまで及んでいます。一般従業員だけ切るのでは示しがつかないので,管理職も血を流すのです。もはや,単純に無能だから切られた,というレベルではありません。むしろ余力があるからこそ希望退職の募集に応じ,あるいは応じざるを得なくなったのです。

 お父さんは会社のため,他の社員のために,身を引く決意を固めた立派な方です。それを支え,家族で力を合わせていくことこそが教育です。出世至上主義のほうが教育上問題です。

Q 中学受験した方から,部活や行事でなかなか勉強できないと聞いたのですが。

A 学校によっては,部活や行事の負担が非常に重いことがあります。しかし,自覚を持っていれば大丈夫です。自覚というのは,行事に参加してなおかつ勉強をがんばるということではありません。

 部活や行事でとことん手を抜くということです。

 実際のところ,大半の人は部活を勉強から逃げる口実にしているだけです。部活も行事も,本当は手を抜けるわけですから,ほどほどにやればいいのです。

 私立中学の人は学校に対する忠誠心が強く,学校が肯定するものは何でも正しいと思ってしまいがちです。しかし,中学を受験したとはいえ,何も放課後の隷属にまで同意したわけではないのです。

 もともと放課後の活動は強制される筋合いのものではありません。勉強する権利を奪うのは人権問題です。そのくらいしっかりした考えをもちましょう。

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