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Q 先輩が,半年あれば慶應なんて楽勝だといっていました。本当でしょうか?

A 能力があり,かつ勉強方法が最適なら,不可能ではありません。ただし,偶然受かったということもありえます。合格には偶然と必然の2種類があります。

(1) たまたま勉強した範囲が入試に出た

 これは「偶然」です。他の年度,あるいは他大学では不合格になるかもしれません。大多数の受験生はこういう合格のしかたをしています。よく,「数打てば当たる」といわれますが,これも,「同じ人でも,自分の勉強した範囲と出題範囲との重なりが大きければ合格するし,そうでなければ落ちる」ということを意味しています。

(2) ほぼ全範囲を体系的にカバーして「受かるべくして受かった」

 これは「必然」です。受験の専門教育機関でしっかり勉強した人は,仮に何度も同じ大学・学部で入試があったとしても合格するでしょう。もちろん,「数を打つ」必要はありません。当学院で東大一本で受験する人が多いのも,「どんな問題が出てもまず大丈夫」という手応えをつかんでいるからです。

 アドバイスを求めるなら,もちろん(2)のような「必然的な合格」を果たした人がいいでしょう。(1)の人の意見に自分の将来を賭けるのはあまりに危険です。

Q 受験は要領だといわれますが,そういうのも効いてくるのでしょうか?

A 「要領」の種類にもよりますが,結論からいうと,かなり効いてきます。たとえば解けなかった問題に印を付けておく,忘れた頃に確実に復習する,といった学習計画上のテクニックは重要です。ただし,その「要領」を知るためにあまりに多くの時間を費やすのは問題です。

 「要領」は,人から言われたからといってすぐに身につくものではありません。基本的には勉強をたくさんしながら,どこを改善したらよいか考えて,自分自身で身につけていくのがいいでしょう。

Q だいぶいろいろな参考書や問題集をやってみたのですが,成績が伸びません。どうしたらよいでしょうか?

A 「参考書や問題集をやった」と称する人の大部分は,未だその内容が定着していません。たとえば問題集。最初から解けた問題もたくさんあるでしょう。そういう問題を「やってみた」に含めてはいけません。解けなかった問題が大事なのです。もし問題集に解けなかった問題がいくつかあったとして,今現在,どれだけ解けるようになっているでしょうか。また,参考書では,その本の内容について聞かれたときに,ほとんどすべて答えられるでしょうか。

 以前,ある有名な英文解釈の参考書を勉強したと称する人に,その本からランダムに20個の英文を選んで訳してみるように言ったところ,なんと一つもできない状態でした。また,ある数学の参考書をマスターしたと称する人に,その本から問題を選んで確認してみたところ,かなり易しいものも自力では解けない状態で,全滅でした。多くの人はこれに近い状況なのです。

 定着しないまま次から次へと参考書を換えても,勉強が空回りするだけです。それよりも,少数の本を厳重に復習し,完全に身につけましょう。

Q 小論文入試が増えていますが,どう書いていいのかさっぱりわかりません。どうすればいいのでしょうか?

A 内容が濃く,説得力があればいいのですが,なかなか難しいものです。よい文章をたくさん読み込んでいけば,いい答案とそうでない答案の違いがわかるはずです。自力では全くわからないというのは,これまでに文章を読んだ量が足りない場合がほとんどです。読書量が少ないのにいい文章が書けるはずがありません。

 また,自分では文章を書くのが得意と思っていても,論理的に数々の穴がある場合が少なくありません。やはり,小論文入試の指導に慣れた人に見てもらうのがいいでしょう。

 さて,ここからが重要です。実際に小論文で合否が分かれるというのは少ないようです。たとえば,

(1) 東大文系後期では,まず論文1の英語の読解が関門になります。長文を読んで内容を要約できるかどうかが重要で,もしここでできないと,その後の論文設問に歯が立たないことになります。東大受験生はともかく英語だけはできるので,これを確保するのが先決です。このことはSFCについても言えます。

(2) 多くの受験生は文章の良さとか論理性とかいう以前に,題意を取り違えて玉砕しています。たとえば何年か前の慶應に「機械は心をもちうるか」という問題が出ています。心をもつにしても,もたないにしても,「心」の内容を定義しないと一歩も先に進むことができないことは容易にわかると思います。ところが,多くの受験生の答案を見るに,何をもって「心」とするかを全く考慮せずに,課題文の内容をなぞるだけに留まっているのです。

(3) 一般的に,小論文ができる人は,同時に他の科目も優秀です。そして,英語や数学といった普通の科目で伸び悩んでいる人は,やはり小論文でも苦戦しています。小論文では,頭の内容が文章に恐ろしいほど現れてしまうので,英語や現代文や古文や数学などをさしおいて「小論文で挽回」ということは起こりにくいように思います。

 ということで,逆説的に見えるかもしれませんが,まずは英語,現代文を中心に普通の科目を仕上げ,頭を使う練習,特に読解練習をするのが小論文の力を付ける近道に思われます。

Q 世界史ですが,はじめに薄い問題集をやっておくというのは有効でしょうか?

A 入試直前期の確認用ならともかく,これから受験勉強を本格的に始めるという段階であれば,まずは一定量の知識がないと,どんなに薄い問題集でも歯が立たないでしょう。そこで,

(1) まず参考書で,あるひとつの単元を読み込む

(2) 次に,基本的で問題数の多い問題集で,当該単元の問題をやって,知識が頭にはいったかどうか確認する

(3) 不十分な知識は一定期間後に復習する

 という作業を着実にこなしていったほうが安全でしょう。終わりの単元までいったらまたはじめからやり直します。ついつい口当たりのよい問題集に走りがちですが,楽をすればそれだけあとの負担は増えるのだということは認識しておきましょう。薄いのに「これで完璧」などとうたっている問題集には,間違っても近づかないことです。

 ここからは余談です。

 なぜ多くの受験生は「薄くて口当たりのよい参考書」に走ってしまうのでしょうか。じつはこれは,消費行動としてはごく自然なことなのです。消費者アンケートでは多くの人が「多少高くてもよい品を買う」と答えますが,実際には安い粗悪品が最も売れるのです。

 しかし受験勉強については,石鹸やトイレットペーパーと同列に考えるのは危険です。なぜなら,粗悪な消耗品を使っても消費者が粗悪な人間になることはありませんが,知性の働いていない粗悪な参考書を使えば,読者の思考そのものが粗悪品になってしまうからです。

Q 自分は公立高校で,有名私立高校の人にとても太刀打ちできそうにありません。やはり東大などの難関大学はあきらめたほうがよいのでしょうか?

A これは案外多く耳にする質問です。数字を見てみると,開成の東大現役合格はだいたい上位150人ぐらいまでですが,公立のトップ校では東大現役合格は,約10人から30人程度で,これを見る限り圧倒的に私立が優位です。ところが,別の見方で見ると,これらの有名公立高校のトップ数人は開成の100番ぐらいのレベルにはあるということです。さらに,首都圏の都立・県立高校のトップ層には,高校受験のときに開成などを落ちてきた人が少なくありません。このことは,高校3年間である程度の逆転が起こりうることを示唆しています。

 従って,あきらめて安全圏を狙うほうがよいということは一概にいえません。志望大学を下げるのは直前でもいいわけですから,目指してみてはいかがでしょうか。ただし,学区で二番手,三番手の高校となるとかなり苦戦するでしょう。

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