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Q 私立中高一貫校に通っている中2です。都立高校を受験しようと思うのですが注意点はありますか?

A はい,注意点だらけです。まず,都立を受験する理由は,以下の三点です。

(1)学費低減

(2)通学時間・通学負担軽減

(3)学習到達状況の確認

 これらすべてが満たされない限り,都立を外部受験する理由はありません。

(1)は明らかに満たされるでしょうから,(2)(3)が問題になります。(2)は,都立は辺鄙な場所にあることがほとんどですから,家からバス一本で通えるところを選ぶしかありません。多少ランクの低いところでも,通学負担が軽いほうが,大学受験に圧倒的に有利だからです。学費が安くなるとはいえ,今より不便な学校になると,大学受験への悪影響は避けられません。

 さらに(3)に関しては,中学範囲を正しく習得できているか確認するためで,非常に有力な理由となります。というのも,私立一貫校では,進度だけ速く,中学範囲をまともに習得していない可能性があるからです。つまり都立は,「落ちない学校」を慎重に選ぶことです。落ちてしまうと,(模試は良かったにしても)中学範囲に致命的な穴がある可能性が残り,かえって不安が増してしまいます。都立トップ校を受けるリスクは,ここにあります。さらに,落ちて私立に行くことになると(1)も満たされなくなってしまいます。

 そういうことで,通学が便利で,必ず受かるところを受験する,が原則です。結果として(1)~(3)の条件が満たされないと,必ず後悔が残りますので注意してください。(2014.12.8)

Q 都立受験のための内申対策について教えてください。

A おそらく観点別評価のことだと思いますが,これは,先生の主観なので,基本的にどうしようもありません。しかしながら,高い確率で評価を上げる方法もあります。それは,当該科目に関する部活に入るか,習い事の成果を見せることです。習い事の場合には,習っていることをちゃんと先生に知らせましょう。テストの点がいいのに観点別評価が足を引っ張っていると思われる場合には,これしか方法がありません。そうすると学科の勉強が犠牲になりますが,そういう制度なので,仕方ありません。うまく力配分を考えましょう。

 ちなみに,学校の先生はプロなので,学習姿勢を取り繕っても一発でばれます。特に公立中の先生方は,身体を張ってやっているプロ中のプロです。本気でいい子になるしかないと考えてください。

 また,そのほうが,将来可能性が広がり,難関大合格にも近づくでしょう。大学受験では高校を無視してグレることになるわけですが,一度よい子になった人でなければできない,要領のいい正しいグレ方があるからです。ここを理解しないと,たとえば「ちょい悪→東大」のつもりが「ただの不良→三流大」になってしまったりします。

 ですから,中学では,勉強以外のこともビシバシ義務教育してもらってください。(2015.5.23)

Q 2016年都立入試から実技科目の内申点が2倍になるそうですが,学力軽視ということでしょうか。

A 変化の方向としては,そういうことになります。実際に2016年入試では,上位校が軒並み実質倍率を下げていますから,優秀層が少なからず重点校から流出したことがわかります。(進学指導重点校では,日比谷2.00→1.65 戸山1.95→1.67 西1.57→1.42 国立1.67→1.64 立川1.65→1.42,八王子東は前年と同じ1.39,青山のみ定員削減のため微増2.03→2.07)

 一説によると,学力重視VS徳育重視の政治的対立の結果ともいわれていますが,そのへんの決定過程はよくわかりません。上記の観点別評価といい,進学重視・学力重視に大きく逆行しているように見えます。

 が,もともと日本的教育そのものが,出る杭を作るところに目的がないのです。出る杭は,往々にして多くの人を打ち過ぎるからです。しかも出る杭は地面にしっかり埋まってないので倒れやすく,周囲を巻き込むので危険です。それに実技偏重=人物重視というのは,他府県でもよくあることです。今回はまだ入試が7割ですから,さらにこれから調査書半分くらいにはなっていくかもしれません。

 都立に合格したということは,人物評価に通ったということを意味します。これはこれで,非常に価値あることです。この上大学一般入試に合格すれば,学力評価にも通ったことになり,いわば二つの称号を手にできるわけです。高校入試は大学入試とは別物ですし,またそれでいいのではないでしょうか。(2015.10.15)

Q 都立のエンカレッジスクール・チャレンジスクールのような救済校に,義務教育でもないのに公費を使うのは納得がいきません。

A えーと,教育相談ではないようですが,いちおう書いてみます。昔から,そのように思われていて,かつては公立高校におさまらない人を私立が面倒見る,という時代が続きました。実際,都立の低層校は,少子化の中で既存の都立高校を延命させるためにやっているのではないかと思われる節もあります。

 では劣等生は私立が引き受ければいいでしょうか。が,私立の低層校になると,商売上,不良でも何でも入学させてしまう可能性もあります。かつての私立低層校の荒れようは,今も悪夢となっています。都立には,商売から遠いからこそできる環境整備もあるはずです。とりあえず,エンカレッジスクールである,足立東高校の進路を見てみましょう。福祉,児童,保育,介護といった方面への進路が非常に目立ちます。実態は年によっても違うでしょうが,いちおうここから,中学で不登校に追い込まれた心やさしい若者の姿が,多少とも浮かび上がります。そんなわけで,もう少し様子を見てもいいのではないでしょうか。(2016.3.4)

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