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Q 公立中高一貫校はどのような環境でしょうか。大学受験のためにはおすすめですか?

A 名前が変わっただけで,従来の公立と同じです。大学受験に有利になるわけではありません。

 それどころか,高校受験がない分,学力面では不利です。

 これは,従来の私立一貫校と全く同じで,高校受験がないので多くの人が中学範囲もおろそかなまま大学受験に突入してしまいます。

 進学状況がいいとすれば,それは,中学入学時に生徒を選んでいるからです。

 実際,一貫校では一般的に,東大合格状況と,入口である中学入試の偏差値は,だいたい相関しています。

 ということは,元から優秀な人は公立一貫校だろうと,私立だろうとどこでも良く,そうでない人は,せめて高校受験で勉強できる普通の中学に行くべきです。

 従って,地元の公立中学が荒れている場合に限り,国私立一貫校と同程度におすすめ,ということになります。

Q 近所の都立が復活しつつあるようです。都心の私立とどちらを選ぶべきでしょうか。

 これは,以前から申しているように,復活しようがしまいが,通いやすく,治安のいいところにすべきです。一般に,都心の私立は,雑多な地域から通ってますので,そのブランド性とは裏腹に,治安が乱れがちです。

 一方,都立の上位校は,住宅街の立地がよく,そのため治安がいいことが少なくありません。

 名指しでおすすめすると,またいろいろ物議を醸しそうですが,都立西や,都立国立は,圧倒的に住宅街の立地がいいです。

 そういうわけで,一見地味に見える都立を選ぶ,というのも,しぶい,堅実な方針ではないでしょうか。

 一方,キラキラブランドが好きな人は,私立です。もちろん,それもありです。

 人間の好みというのは,どうしようもなく存在するものですから,いいとか悪いとかではなく,自分に合ったところを選ばれるとよいかと思います。

Q 私立のブランドは今後も続くでしょうか?

A 続くと思います。

 一定数,そういったブランドを求める人がいる以上,その受け皿はなくなりません。

 何に価値を見出すかは,多様であればあるほどよく,そのほうが健全な社会というものです。ブランドバッグをぶら下げたお姉さんも,むさくるしいぐるぐるメガネの学者肌のおっさんも,どちらも社会にはあまり役立ってないかもしれませんが,そういうこと以前に,社会にはなくてはならない存在です。もちろん好みはあるでしょうが,そういう多様性を,安らかに肯定し,興味を持てる気持ち,ないしは思想性が,無益な上下比較に囚われない一つの幸福の境地なのではないでしょうか。

Q 昔から教養といいますが,教養とは何でしょうか?学力のことですか?曖昧でよくわかりません。

A 教養とは,変な例になりますが,たとえば,錆びて使えなくなった爪切りを捨てるときに,ふと,今までありがとう,と心の中でつぶやくことです。

 こういうことに共感できるようであれば,教養ある人ではないかと思います。このような人が,他人を粗末にすることはありません。

 一方,「なんじゃそりゃ,頭おかしいんじゃないの?ただのモノだろ。感謝とか,バカだろ!?」と思う人もいるはずです。

 というか,そういう人のほうが圧倒的に多いでしょう。こちらが,教養のない人です。攻撃的で,有害です。

 この例でわかるように,教養のある人と,ない人では,はっきりと分かれます。決して曖昧な概念ではありません。

 このような教養は,点数で測れる学力とは関係ないものです。しかし,点数と関係ないところで,どんな学習をしてきたか,どんなしつけをされてきたか,ということとは,大いに関係あるでしょう。

 教養を高める,良質な勉強を,子供さんにさせてあげてください。

Q 中学を選ぶ基準について教えて下さい。

A 中学には,大学附属,国立,私立,宗教系,それに最近増えている公立一貫校……といろいろな種類があり,それぞれに優れた教育方針と特色があります。そしてこれらの情報については多くの書籍に解説してあります。しかし実際にはそれらを読んでなお選択に迷うことが少なくありません。このような場合には,夢がありませんが,やはり志望大学の受験に有利という基準で選ぶしかないのではないでしょうか。それは,ズバリ,

(1)家から近い

(2)行事が少ない

(3)余計な補習がない

 です。

Q いじめへの対処法を教えてください。

A 最悪の場合を書きます。

 転校しかありません。それもできるだけ遠くへです。

 中学は事実上の無法地帯であり,治安が悪いところは,大津の事件でもわかる通り,リアル北斗の拳です。近くで転校したり,引っ越したくらいでは,執拗につけ回されることもあります。

 附属で大学までいけるのに辞めたらもったいない,というようなことを考えてはいけません。そういうふうに,生徒が辞めにくい環境だからこそ,学校が事件を放置したり,生徒が増長したりするのです。

 学校も教委も警察も,実際に命に関わるような被害が発生するまでは,決して動きません。

 最悪のケースではないにしても,段階に応じた対処が必要です。そのタイミングを間違えると,大きな被害に遭います。

 まず,口頭による攻撃から始まり,次に所持品に対する攻撃へと進みます。この段階までに転校です。

 物質的な損害というのは,口頭による攻撃と違い,見た目にもわかりやすく,被害金額がはっきりと算定できるものです。この具体的な被害の形を見て,黙っているようでは,次に間違いなく身体への攻撃へと進みます。その前に脱出しないと,命に関わります。

 いずれにしても,本当に誰も助けてはくれませんから,ご家庭で,独自に判断して行動する以外にありません。

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