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Q 大手の模試の合格可能性判定や偏差値はどの程度信頼できるのでしょうか。

A これは,判定に何を期待するかによります。勉強の進度を知るために利用するのであれば,50%より60%のほうがより勉強が進んでいそうだということは言えます。しかしながら,多くの人が期待するように,受かるかどうかを知りたいのであれば,合格率40%~60%という範囲は,事実上「受かるか落ちるかわからない」ということになり,利用価値は少ないと言えます。一方,合格率が80%以上,および30%以下といった両極の数値の場合には信頼性は高まります。

 さて,では80%の合格率は何かということを考えてみます。これは,受験者の80%がちゃんと受かるわけですから,統計的数値として信頼できることは間違いありません。ところが,よく言われるように,誰が不合格者の20%に入るかについては語ってくれません。

 さらに,大きな模試の問題は特定の中学の出題傾向には対応していません。模試問題は定型的なので,これが解けることは,単に「(特定の塾で)過去に学習した問題を確実に覚えている」ということの証明でしかありません。

 極端な場合,たとえば灘中学などでは,「初見では難しいけれども過去問に酷似している問題」ばかり出題されますので,大手塾の全国標準のような教材よりも,むしろ灘の過去問そのものを覚えてしまい,さらに類題ばかり勉強するほうが効率がよくなります。しかしこういうことをしていては,大手の模試の偏差値は下がってしまうでしょう。

 さらに,母集団が実際の入試と全く異なります。たとえば開成の入試には結局出願しないであろう低得点層も,模試では志望校を開成と記入してしまいます。こういう人は,母集団を変質させ,平均点と標準偏差を狂わせます。ゆえに偏差値も狂います。実際,小5の頃は多くの人が十分に学力の伸びないうちに(つまり玉石混淆のまま)平気で難関中学を志願していますので,判定は下しようもありません。実質的には,相当に高い偏差値をとっていないと,合格の見込みありとの判断はできないでしょう。つまり,小5の偏差値を小6生が使う中学ランク表に適用してはいけないわけです。

 そこで,合否判定に際しては,実際の入試出願者の動きを予想して補正しなければならないのですが,いずれにしても相当の誤差は避けられません。

 従って,大手の模試成績を利用するに当たっては,次のように,条件をかなり緩めて解釈する必要があります。

1 合格率80%の集団内でさらに上位3分の1程度にいれば,その中学はほぼ確実

2 同じ「合格率80%」の人の中でも,中位以下ならあまりあてにならない

3 小6の夏以降の偏差値については,ランク表の当該偏差値帯にある中学を4校ぐらい受ければどこかしらには受かると期待される

4 残念ながら小5以前の偏差値は,入試までに逆転がありうるのであまり参考にならない

5 小6の夏以降の模試偏差値から10くらい引いたレベルが滑り止めになる

 このような形で,おおまかな目安として利用する以外にないでしょう。あとは志望校の過去問を解いてみたり,志望校別にクラス編成をしている塾の内部成績も参照したりして最終決定すべきです。

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