東京凰籃学院

世界史的中・類題対照表


 

'99 東大入試問題

世界史第1問

 ある地域の歴史をたどると,そこに世界史の大きな流れが影を落としていることがある。イベリア半島の場合もその例外ではない。この地域には古来さまざまな民族が訪れ,多様な文化の足跡を残した。とりわけヨーロッパやアフリカの諸勢力はこの地域にきわめて大きな影響を及ぼしている。このような広い視野のもとでながめるとき,紀元前3世紀から紀元15世紀にいたるイベリア半島の歴史はどのように展開したのだろうか。その経過について解答欄(イ)に15行以内で述べよ。なお,下に示した語句を一度は用い,使用した語句に必ず下線を付せ。

カスティリア王国  カール大帝  カルタゴ  グラナダ
コルドバ    属州    西ゴート    ムラービト朝

凰籃学院教材からピンクの語は重要関連語)

カルタゴ・古代地中海世界総合

 古代から中世にいたっては地中海沿岸が歴史の主要な舞台となっていたことはよく知られる。その中に,シチリアという要衝がある。当時この地域においては,様々な民族や国家の勢力が入り乱れ,さながら国際政治の中心舞台とさえ呼べるほどの激動に見舞われた。そこで,その様相について15行以内で簡潔に記してほしい。そのさい,以下の語句を一度は用い,用いた語句には必ず下線を付すこと。

フェニキア人   カルタゴ   奴隷反乱   ヴァンダル人
ルッジェーロ2世  バルバロッサ   シャルル  アラゴン

(東大世界史2)

古代〜中世地中海世界の交流

 地中海世界はきわめて古い時代から諸民族の交易活動の場であった。13世紀に至るまでの地中海世界の展開と変遷を20行以内で論述せよ。解答に当たっては以下の語句を必ず使用し,使用した語句には下線を付すこと。

ミケーネ文明     アラム人     都市国家      属州
カロリング家   十字軍    アイユーブ朝  両シチリア王国

(東大世界史冬)

カールによるイベリア制圧

 ローマによって実現された古代地中海世界は徐々に崩壊し,やがて9世紀にいたって文明の中心はより内陸部(いわゆるガリアの地)へと移動することになる。このように西欧文明の中心が移動した過程について, 12行以内で説明せよ。

(東大世界史1)

レコンキスタ・アラゴンとカスティリアの躍進

 8世紀は全世界的に革新の世紀といわれる。ところで,いわゆる十字軍的な遠征活動は既に8世紀の西欧にその原型を見ることができる。これについて,後に行われる本来の十字軍との類似性に着目しつつ,簡潔に述べよ。

(東大世界史1)

西ゴート族の動き・ウマイヤ朝など

 西ローマ皇帝アウグストゥルスがゲルマン人傭兵隊長オドアケルに廃位されて以後,八世紀半ばに至るまで,旧ローマ帝国領だった地中海地域には民族の移動を含む大きな政治的変化が生じた。これらの変化を,次の三つの人名を用いて14行以内で説明せよ。

  ユスティニアヌス帝  ムハンマド(マホメット)  カール(チャールズ)・マルテル

(東大世界史2)

コルドバ,グラナダの攻防〜ナスル朝

 いわゆるヨーロッパ世界は中世初期から19世紀前半にかけて,ある別の「世界」からきわめて大きな影響を受け,まさにヨーロッパの歴史はその闘争の中に築かれたといっても過言ではない。このことに留意しつつ,この期間における両世界の交渉や勢力関係の推移を15行以内で記せ。そのさい,以下に示した語句を必ず使用し,用いた箇所には下線を付すこと。

グラナダ     近代科学   ハンガリー    東方問題
レパント海戦  十字軍   ビザンティン帝国  ギリシア

(東大世界史2)

アラブ・ベルベルのイベリア進出

 カール大帝の死後分裂したヨーロッパの空間は,第二次民族移動の際の目まぐるしい変化を経て次第に再編され,現在の原形ともいえる状態を現出した。このことを踏まえて,8世紀から10世紀にかけてのヨーロッパにおける諸民族の動きについて,15行以内で論述せよ。その際,以下に示した語句を必ず1度は用い,用いた語句には下線を付すこと。

     ジブラルタル海峡  「われらの海」   ロロ     クヌート
     両シチリア王国   ザクセン朝    ローマ教皇  ベーメン

(東大世界史夏)

イスラム勢力のイベリア進出

 マホメットが一神教を説いて以来,アラビア人イスラム教徒はさまざまな場所に拠点をおき,イスラム勢力を拡大した。そしてこの拡大はやがてトルコなどアジア系民族が本格的に帝国を築くまで,まさにとどまるところを知らない勢いで展開する。しかしその陰には宗教内の主導権争いが色濃く反映していることも否定できない。以上のことをふまえて,イスラム教誕生から11世紀までに,アラビア人がいかにしてイスラム世界を拡大してきたか,その過程を簡潔に15行以内で説明せよ。そのさい,以下に示した語句を必ず一度は用い,用いた語句には下線を付せ。

    ヤスリブ  ホスロー1世  アリー     ダマスクス
    クーファ  イベリア半島  アッバース朝  エジプト

(東大世界史夏)

ベルベル族・ムラービト朝の進出

 イスラム世界が本格的に広がるのは10世紀以降である。これ以降16世紀頃までに,イスラム世界は以下の各地域に広がった。その様相と歴史的意義について,以下の地名を適宜用いつつ8行以内で説明せよ。

ニジェール    マラッカ    シリア
エジプト    イラン    ムガール朝

(東大世界史1)

中世ヨーロッパの空間と交流

 中世中期には社会的空間像が大きく変化したと言われる。この空間革命の意味するところを,経済・政治・文化の諸側面について合わせて10行以内で説明せよ。

(東大世界史1)

東西交流史・イベリア史を含む

 7世紀の後半から11世紀にかけての中世前半期は,世界的に激動の嵐が吹き荒れ,盛んに東西交流が行われた時期であった。それは激しい王朝の交代劇を伴い,各支配者は現在の国境などゆうに越えて,大陸規模の征服活動を展開した。そこで,ここでは中世初期における政治的変動とそれに伴う文化交流について,全世界を視野に入れながら20行以内で説明せよ。その際,以下に示した語句を一度は用い,用いた語句には必ず下線を付すこと。

    骨品   ツングース   チャムパー   北アフリカ
    レオ3世    ロロ    エグベルト   リューリク

(創作テスト講座)

コメント

 広範囲かつ長期にわたる歴史の出題。設問に「多様な文化の足跡を残した」とあるように,文化的空間の推移をどこまで描けるかが合否を分けるだろう。また,イスラム王朝の整理も重要。

 上にあげた問題のうち2〜3問の学習内容で入試問題はカバーできるが,今年は古い時期の地中海史が強く予想されたので,習熟を期し,このほかにも何度も扱った。基本事項を反復し熟練しておく当学院カリキュラムの安全性が実証された形となった。

ご注意: 上にあげた「キーワードつき東大型論述問題」のほとんどは,当学院のオリジナル予想問題です。入試問題ではありませんので,無断転載しないでください。


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