日本史第1問
次の文章は,古代のある時期における美術の動向について述べたものである。これを読んで,以下の設問に答えなさい。
東京・調布にある深大寺で明治42年に発見された銅造釈迦如来倚像は,高さ約84センチと小型である上に椅子に腰掛けている親しみやすい姿となっており,制作された時代の美術傾向を示している。
その時代には,初唐文化の影響を受けた明朗かつ清新な作風の作品が生まれ,それまでの時代を受け継ぎつつも,美術史上,特色ある一時期となっている。
特に仏像は目立って和式化が進んでおり,(1)柔和で童顔,自然なポーズ,50センチ以下の小型のものが増え,側面や飾りまで念入りに作り込まれて立体化が進んでいる。このように技術的にもいっそう高度化し,まもなく訪れる絢爛たる仏教文化の萌芽を見せている。さらに,仏像だけでなく,(2)絵画や文芸にも時代の特色は及んでいる。
さて,深大寺のある旧多磨郡狛江郷は,高句麗(高麗・こま)からの移住者が多かったことから狛江(こまえ)と名付けられた。また,浅草寺境内から出土した布目瓦から,この頃には,浅草寺を中心とした集落も成立していたと見られる。
このように,この時代には,国際的な動きの影響をも受けつつ,広く仏教文化が拡散したと考えられる。
設問(A)
下線部(2)に関して,(ア)この時代の絵画作品を一つあげなさい。(イ)この時代の作者による作品が収められている文芸作品を一つあげなさい。
設問(B)
上の文章をもとに,下線部(1)のような美術傾向が現れるに至った経緯を,当時の政治・外交をふまえ,120字以内で述べなさい。
コメント
どの時代かは,すぐに出てくるでしょう。その年間に起きたことを思い出して,出題の意図と結びつけていきましょう。