現代文第一問 解説と解答

 

一 世界=人々、安泰=安心、と考えれば一発で解ける。人々の側の説明として「安心を得たい、という渇望」とあるから、これで確認できる。安心の理由として、「生産物を遍く分配」に注目すればよい。

 

解答例 物資を人々に必要なだけ分配し安心させるということ。

 

二 スキームとは、「公式」「定型化された手順」といった意味だから、何か法則のようなものがあるのだと考える。指示語「この」があるから、直前数行を眺めれば十分であろう。直後には「政府の動きが、すべて見事に説明できる」とあるから、政府の動きを説明するような原因を探せばいい。かくして、「税収を確保するために最も有利となるように政策を行っているのである。」が即座に見つかる。

 

解答例 税収という私利を求めて政府が動くという法則。

 

三 このあたりからやや難しくなる。「文系」とは、この場合、私利に走る政府のことだろう。一方「技術者」とは、政府が主張する市場の混乱を、コンピュータによって解決してしまう人間である。あとは政府の説明「それ(市場の混乱)を防ぐ『神』」で解決である。技術者が神の権威を奪ってしまうのである。何カ所かに目を配らなければならないので難しい設問である。

 

解答例 社会問題に取り組む名目で権力を握る人にとって、問題を解決する技術者存在理由を脅かすから。

 

四 「確実な」は直前の「物質基盤」でOKだろう。あとは「物質基盤」と「安心」の関係を常識で軽く書けば済む。

 

解答例 自然が物質的必要を満たしてくれるという安心感。

 

五 これは難問である。構造としては直前に「だからこそ」とあるので、理由はその前にある「自然は何も語らない。権威を振りかざすこともなければ、国境を作って人を支配することもない。」であろう。ここまでは抜き出しでどうにかなる。問題は、これが、なぜ「最高権威のイデオロギー」になるのか、である。そこに、本文の趣旨をねじ込め、というのが出題の意図である。

 本文の趣旨は何であったか?それは「政治は私利を追求する。だから自然に目を向けよ」であるから、これを間に入れればいい。また、「最高権威のイデオロギー」の部分は常識的な語義説明で落とせばよい。

 

解答例 意志をもたない自然は、私利を追求することがないため、人間に遍く恩恵を与えることができるから。

 

 

一 物資を人々に必要なだけ分配し安心させるということ。

二 税収という私利を求めて政府が動くという法則。

三 社会問題に取り組む名目で権力を握る人にとって、問題を解決する技術者は存在理由を脅かすから。

四 自然が物質的必要を満たしてくれるという安心感。

五 意志をもたない自然は、私利を追求することがないため、人間に遍く恩恵を与えることができるから。