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Q 有名私立一貫校といわれる中学に通っており,東大志望です。どう考えても高校の授業や行事は無意味に感じます。高認にしたほうがいいのでしょうか?

A このタイプのご質問件数がとても多いので,さらに追加の意味でここに記します。

 高認ルートですが,こと大学受験に関する限り,高校に行きながら受験勉強するよりも効率がよいことは否定できません。高校の授業程度の学習は,参考書を買って自分で行うことが十分可能です。また,学校行事には文化的で非常に優れたものもありますが,想像以上に勉強の妨げになると感じる場合も少なくないでしょう(勉強したくない人には行事はパラダイスなのですが)。

 さて,ここからが問題です。大学入試のもっと後,就職の話になります。

 たしかに大学のランクが高いと就職に有利に働きます。これは企業が「努力したことを認める」ことを意味します。では,高校に行きながら受験勉強した人はどうでしょうか。やはり多くの人事担当者は「勉強に適さない環境の中でよく頑張った」と評価するのです。

 それだけではありません。

 高校に通ったということは,周囲の人間と折り合って,人間関係を維持してきたことを意味します。社会に出ると,仕事以前に,同僚とどのように協力していけるかが問われます。しかも比較的安定収入を得ているいくつかの既得権益型大企業には相変わらず,「収益が悪化すればリストラすればいいや」という潜在意識(いわゆる「大企業病」)があり,そういうところでは実務能力よりも上司に気に入られるほうがはるかに大事だったりします。

 高校を中退したりすると,一部の企業はほぼ確実に,「人間関係に問題があるのではないか」といった疑惑をもつでしょう。また,「入社してもすぐに辞めるのではないか」といった懸念も抱くに違いありません。入社面接などで疑惑を晴らすことができればいいのですが,昨今の就職難を考えると,高認は無条件にボツ,とする企業が出てもおかしくはありません。

 その意味では,高認を選ぶなら,大学名自体に相当のネームバリューのあるところに合格する必要があります。一流大学であれば,それだけで仕事上の実力ありと認めてもらえたり,教授の推薦状が力をもったりするからです。

 おそらくは,高校に行きながらよい塾や予備校に通う,といったオーソドックスな方法が,安全性,将来性の面では優れているのではないでしょうか。この文章をご両親にも見てもらうなどして,慎重に考えてみてください。

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