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Q 国公立大をやめて科目数を減らし,早慶専願に変えようと思うのですが。

A このようなケースでは多くの場合,成績が伸び悩んで新しいことを吸収できない状態になっているようです。これを打開しない限り,科目を減らしても何ら効果はありません。科目数が減っても,まだまだたくさんのことを勉強しなければならないことに変わりはないからです。

 経験的に早慶の合否状況を見てみると,途中から私大専願に切り替えた人はかなり苦戦をしています。そういう人の経験談によると,やはりいったん易しい道を選ぶと,ついつい楽な方へと万事シフトしてしまうのが敗因とのことです。一方国公立受験者は科目数が多い分,危機感を強く持って勉強し,結果として私大専願者を引き離してしまうようです。

 そのようなわけで,早慶専願への心理が負のベクトルである限り,たとえ科目を減らしても,得点上昇はそれほど期待できないでしょう。

 では,このような点に注意した上で志願変更するとして,その方針について記します。

(1)東大から早慶専願へ

 年にもよりますが,たとえば早慶の法学系に合格した人の東大合格率は30%以下であるのに対して,東大に合格した人の早慶の法学系合格率は70~80%にも及びます。早慶のほうが入りやすいことは明白ですから,他の国立大学よりも早慶に魅力を感じる場合には,切り替えるのも一つの方法といえるでしょう。

(2)一橋・東工大・京大から早慶へ

 これが問題です。まず,法学系や理学系といった上位学科では両者の難易度は大差ありません。両方受けた人の合否結果からも,たとえば慶応経済と京大法,一橋法は甲乙つけがたい状況です。ですから,上位学科に関しては,早慶は滑り止めにはならないということです。

 次に,商学系,経済系,文学系などについては,たとえば,早慶不合格の人でも,京大や一橋商にはかなり合格している現状があります。国立型の勉強をした人の集団では,どちらかというと,京大や一橋のほうが入りやすい印象があります。従って,経済や商でもいいから国立に行きたいという人にとっては,早慶専願は,選択の幅を狭めるように見えます。

 さらに,理系なら,旧帝大工学部や東工大に,「お買い得学科」が散在することも見逃せません。国立理系受験者は早大法のセンターも狙いどころです。

 以上(1)(2)から,結論として,国立大学に未練がある人は,早慶専願にする前に,一橋や東工大の下位学部を狙ってみる価値があるのではないでしょうか。

 また,以下のような点にも注意しましょう。

(1)国立型でセンター対策をしておけば,早慶のセンター方式にも出願できます。かつては国立型だと科目負担が大きい上に,マニアックな私大専願者と正面衝突するので併願対策も大変でした。しかし最近では私大全般に,センター枠の導入によって,国立受験者が優遇されつつあります。

(2)特に慶応経済・法の難化は,東大の併願先になっているからで,これは結局のところ,国立大学の受験機会が少ないことに拠っています。専願するには「お買い損」な学部といえます。

 余談ですが,これまで国立大学は,受験生から受験機会を奪うことで,併願に伴う大学の決定的な序列化を避けてきました(受験機会が増えればどうなるかは,かつての東大京大ダブル合格者が東大に流れたことからも明らかです)。さらに税金投入によって安い授業料と高度な設備を実現し,受験生を引きつけてきました。こうして国立大学は全体としてのステータスを維持してきました。まさに「政策的に作られた」ステータスであったといえます。

 独立法人化その他の改革によって受験機会が拡大するようなことがあれば,国立大学も自由な競争に晒され,これまでのステータスが変動するのではないかと注目されます。

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